Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
竜之助は悽然として、この女の大胆なのに驚いたが、驚いて見れば何のこと、それはやっぱりあらぬ妄想、感が納まって夢に入りかけた瞬時の幻覚に過ぎないで、一間へだてた次の間では、お絹の寝息がいよいよ軟らかく波を打つ。
その夜は明けて、翌朝になると、竜之助の眼が見えなくなりました。
三
机竜之助が東海道を下る時、裏宿七兵衛はまた上方へ行くと見えて、駿河の国薩峠の麓の倉沢という立場の茶屋で休んでいました。ここの名物は栄螺の壺焼。
「お婆さん、栄螺の壺焼を一つくんな」
蜑が捕りたての壺焼を焼かせて、それをうまそうに食べていると、
「御免よ、婆さん、壺焼を一つくんな」
七兵衛と向い合いに腰をかけた人。銀ごしらえの脇差を打込んだ具合、笠の紐の結び様から着物の端折りあんばい、これもなかなか旅慣れた人らしいが、入って来ると笠の中から七兵衛をジロリと見ました。
「婆さん、いくらだね」
七兵衛は壺焼の代を払おうとします。
「六十文いただきます」
「ここへ置くよ」
七兵衛は百文ばかりの銭を抛り出して出ると、
「婆さん、いくらだえ」
銀ごしらえの脇差も同じように壺焼の価を聞く。