Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
驚いて逃げるがんりきの方へ寄って行く竜之助、ふらふらとして足許が定まりません。
がんりきは、竜之助の刀を避けて、楢の木の蔭へ隠れる。白刃を閃めかした竜之助は、蹌踉として、がんりきの隠れた楢の木の方へと歩み寄る。
「先生、御冗談じゃありません、わっしをどうしようと言うんでございます」
がんりきは木の蔭から叫ぶ。その声をたよりに刀を振りかぶった竜之助。
「先生、眼が見えるんでございますか、わっしをお斬りなさるんですか」
がんりきは、刀を振りかぶった竜之助の形相を見てまた驚く。静かに歩み寄る足取りが盲目の人とは思われない。閉じた眼が、がんりきの面に向いて輝くような心持がしますから、
「あ、危ねえ」
がんりきは、楢の木の蔭に居堪らないで、身軽に飛んで、高さ一丈余りある国境の道標の後ろへ避ける。
「是より甲斐国巨摩郡……
是より駿河国庵原郡……」
がんりきの飛んだ方へ竜之助が向き直る、そうして徐々と歩み寄る。
「あ、冗談じゃねえ、先生、眼が見えるんだね」
がんりきは、この時、本当にまだ竜之助の眼が見えると思ったくらいですから、この道標の蔭からいずれへ逃げてよいかわからない。