Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠2
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme
「ナニ、槍を持って来た?」
二人の擬い勤番は、障子をあけて外を見ると、長い廊下の向うから、人が一人、闇の中を静かに歩いて来ると、そのあとから追いかけるように一人の女が雪洞を差し出しています。
「神尾殿、神尾主膳殿」
廊下を歩いて来る人は、二間も三間も隔たった向うから神尾の名を呼ぶ。そのくせ、廊下を歩く足どりはゆっくりしたものです。
「チェッ、来やがったな。それにしても、あの声は……」
二人は廊下の闇を微かな雪洞の光をたよりに山崎の様子をうかがうと、どうやら人が違うようです。
碁盤へ印をつけた山崎はもっと太った男であった。甲府へ来た時の山崎はあんな士風ではなく、易者のような恰好をしていたし、その山崎の声は、もっと太くて力のある声。いま呼びかけた声は低くて沈んで病人のような声です。
「あれが山崎か」
「左様でございます」
「何だ、山崎は病人か」
「お目が御不自由で、それゆえ失礼ながらこのままとおっしゃって、槍を杖に突いて、おいででござりまする」
「そりゃ訝しいぞ」
二人は面を見合せていた時に、廊下を渡って来た人、黒の紋付を着流して腰に両刀、それで九尺柄の槍の石突で軽く廊下の板を突き鳴らしながら、