Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠2

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠2 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.601 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

であろうと、

「御安心なさいませ、きっとお届け申し上げますから」

塀の外から請合ったが、この時はもう中からは挨拶がありませんでした。

「ムクや、ほんとにムクはどうしたのだろうねえ」

お玉はいま、女から受取った手紙と金とを懐中に入れて、しきりに犬を尋ねて、備前屋のまわりを廻ると夜番に出会します。

「間の山のお玉さんではねえか」

夜番の男もまたお玉を知っていました。

「はい」

「なんでこんなところをウロウロしているだ」

「ムクが見えませんから……夜番さん、ムクをどこぞで見ませんでしたか」

「知らねえ」

「左様でございますか」

お玉は夜番にまでムクのことを聞いてみたが、やっぱり知らないというので失望して、とうとう備前屋の周囲を一廻りしてしまいました。

いくらムクを尋ねても、ムクは声も形も見えませんから、お玉は已むことを得ず、ひとりで帰りの路に就きます。

来た時と同じように、町の隅の方の人目にかからないようなところを、手拭を頭から被って後ろへ流し、三味線を後生大事に抱えてさっさと歩いて行きます。

今宵はお客様の強っての所望で二度まで間の山節をうたい返した上、その因由などを知っている限り話させられたので、これほど晩くなろうとは思わなかった、拝田村まで帰るには淋しいところもあるのだから、こうしてみるとムクのいないことが心細い。