Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
生々の父母、世々の兄弟のうち、一人を残さば我れ成仏せじというのが、菩薩の御誓いだと承りました。大慈悲の海の一滴の水が、私共のこの胸に留まりまするならば、たとえ私のこの肉の眼から一切の光が奪われまして、この世の空にかかる月は姿を見せずとも、本有心蓮の月の光というものは、ゆたかに私共の心のうちに恵まれるものに相違ございませんが、何を申すも無明長夜の間にさまようて、他生曠劫の波に流転する捨小舟にひとしき身でございます、たどり来ったところも無明の闇、行き行かんとするところも無明の闇……ああ、どなたが私をこの長夜の眠りから驚かして下さいます……昨日も私はこの裏の山へ入って行きますと、山鳥の声がしきりに耳に入りました。目は見えませんでも、物の音は耳に入るのでございます。そのとき私は、ほろほろと啼く山鳥の声聞けば、父かとぞ思う母かとぞ思う、のお歌を思い出しまして、この見えぬ眼から、しきりに涙をおとしたことでございます。私共の心眼さえ開いておりますならば、山鳥の音を聞きましても、まことの父と母との御姿を拝むことができましょうのに、小器劣根の私には、それができませんのかと思うと…‥」