Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

蛇が樹下にあって口を開くと、鼠がおのずからその口中に落ちて来るように、この流るるが如き殺剣を突きつけられると、何物も身がすくんで、我とその刃に触れて、命を終らぬということはありません。斬るよりは寧ろ斬られるのです。のがれんとするよりは、近づいて来て斬られてしまいます。

ひとりこのお喋り坊主の弁信に限って、その怖るべき吸引力の外に立っているのが不思議。いや不思議でも例外でもない、御同様の盲目で、多分その殺気は受けても、殺剣が見えないからでしょう。

「身に徳があれば刀刃も段々に折れることでございましょう、徳がなければ刃を待たずしても亡ぶるものでございます。前世の果報が尽きた時に、今生の終りが来るのでございますから、死ぬも生きるも己れの業一つでございます。業は受けざれば尽きずと釈尊も仰せになりました、逃れんとしても三世の外へ逃るることはできません……私は、もうここを動きますまい、ここにこうして、じっとして立っておりましょう」

彼は相変らず殺剣の前に立って減らず口――しかし減らず口も、この際これだけの余裕を持ち得ることは、無辺際なる減らず口といわねばなりません。