Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「友さん、それでは、どうかこっちへ来て下さい」
見事なその一間、絹紬の夜具に包まれて、手厚い看病を受けているお君の身は、体面においてはさのみ不幸なものとはいわれません。
米友が来たと聞いて、その美しい、衰えた、淋しい面に、このごろ絶えて見たことのない晴々した色が浮びました。
「お君さん、友さんが来ましたよ」
「どうも有難う」
力のない身体を向き直すつもりで、鉢巻をした面だけをこちらへ向けると、米友は無言のまま、そこへ坐り込んでいます。
「友さん、よく来てくれましたね」
「うむ」
「わたしはね、頭の方は癒りましたけれど、身体はもう駄目なのよ」
「…………」
その時に、お松が米友に代っていいました、
「そんなことはありませんよ、産後ですもの誰だって……」
「いいえ……」
お松も信じては力をつけられない。お君も気休めの言葉を、気休めとして聞くほどに自分を知っている。
「ですから友さん、わたしはお前によく話をしたり、頼んだりしておきたいと思っているの……」
「うむ」
「友さん、お前はわたしを憎んでいるばかりでなく、駒井の殿様をもいつまでも憎んでおいでなのが、わたしは残念でたまらない」