Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「又六もなかなか心がけのよい者だ、主膳が世に出れば、このままでは置かないつもりだ」
神尾主膳は、どうしたものか今夜に限って、しきりに世に出れば、世に出れば、が口の端に出る。このごろはともかくも今の境遇に安んじて、それを楽しむ心さえ起りかけていたのに、今夜は急に、これを不足とするらしい。
「どう致しまして、殿様、私共はいつまでも殿様がこうしてこちらにおいであそばす方が、忠義ができて有難いと申しておりますのでございます。殿様が、以前の御身分にお戻りなされば、とてもお傍へも寄ることはできません、殿様のおためには、御出世がようございますか存じませんが、私たちのためには、こうしてお身軽くしておいでなさるのが何より有難いのでございます」
「いや、お吉、お前方の親切はほんとうに嬉しいぞ。それが本当だ、今まで拙者が交際していたやつらは、羽振りのよい時だけに限ったものだが、お前たちにはそれがないのが嬉しい、嬉しい。お吉、ほんの志じゃ、これをお前に取らせるぞ」
といって神尾主膳は差していた脇差を抜き取って、お吉の前に置きましたから、お吉がびっくりして、
「まあ、こんな結構なお差料を、わたくしに……」