Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

「旦那様、旦那、どう致しましょう、いっそ駕籠を戻しましょうか、それとも千木良の方へでも下りてしまいましょうか」

根が正直な土地の駕籠屋だけに、まじめになって駕籠の中の客に相談をかけると、その理由を知ることのできない竜之助は、

「どうして」

「今晩は、いけない晩でございますよ」

「何がいけない」

「お聞きになりましたか、今、怪しい旅の人が、煙草の火を借りて参りました、それが、その、ただの人ではないのでございます」

「ただ人でない?」

「ええ、さきほどもお話し致しました通り、この高尾のお山には、昔から天狗様が棲んでおいでなさるのです、そうして今の旅人がたしかに、その天狗様に違いありません」

「ばかなことをいうな、拙者もここでその旅人のいうことをよく聞いていたが、人間の声だ」

「左様でございます、言葉だけをお聞きになったんでは、ちっとも人間と変りはございません、また姿を見たって人間とちっとも変りはございませんが、旦那様、歩くところをごらんになれば、直ぐわかります」

「何か変った歩きつきをして見せたか」

「変ったどころではございません、今ここで煙草の火をつけて、霧が捲くから用心しろとおっしゃったかと思うと、もう二十八丁目の天辺へ飛んで行ってしまいました」