Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
手に携えていた香華を、木標の前の竹筒にさして、無言に立っていると、娘は阿枷の水を汲んで、墓木と花とに注いでいる。
塗笠のさむらいは、木標の前に立って、軽く頭を下げて、感慨深く立っている。
「殿様、どうぞ、お水をお上げくださいまし」
娘は杓柄を武士の手に渡すと、それを受取った武士は、墓に水を注いで、
「この文字は誰が書きました」
「御老女様からのお頼みで、大僧正様が書いて下さいました。御老女様は、そのうちお石塔を立てて、そのお石塔の後ろへ、朝夕の鐘の声、という歌を刻んで上げたいとおっしゃいました」
高いところで、見るともなしに見ているお角の耳へは、無論この二人の問答は入りませんが、満地の墓碣の間にただ二人だけが、低徊して去りやらぬ姿は、手に取るように見えるのであります。そこで、お角は早くも、これはしかるべき大身のさむらいが、微行で、ここへ参詣に来たものだなと感づきました。表には憚るところがあって、この娘だけが一切の事情を知っていて、お殿様の案内をして、こっそりと参詣に来たものだなという感じは、お角のような打てば響くところのある女性には、見て取ることが早いと見えます。