Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
争いでなければ、争いを婉曲に包んだものに過ぎない。人間日常の礼儀応対までが、この男の眼――見えない眼を以て見れば、ことごとく剣刃相見ゆるの形とならないものはない。いやまだまだ、人間の生存そのものが、また一つの立合である。
一剣を天地の間に構えて、天地と争って一生を終る――所詮、天地の間に吐き出されて、また天地の間に呑まれ了るものと知るや知らずや。生存ということは、天地の力に対抗して、わが一剣を構ゆることに過ぎない。わが一剣の力衰えざる限り、天地の力といえども、如何ともすることができない――と、彼はそう思わないで、そう信じている。
女というものに触れる時――彼は、いつでも戦いを挑まれたように思う――そうしてこれを斬ってしまわなければ己れが斬られてしまうように思う。この場合においては、相手の善悪美醜を選ぶのいとまがないのです。
まもなく久助とお雪は外の湯から帰って来て、鮒や小蝦をお茶菓子に、三人お茶を飲みました。そこへ、宿の番頭がやって来て、
「ええ、御免下さいまし、毎度、御贔屓に有難う存じます。ええ、それからちょっと申し上げておきまするは、今晩のところは、土地の風習で、お万殿の夜詣りということになっておりますから、九ツ半過ぎては、外へお出ましにならぬように、なにぶんよろしくお願い申します」