Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
女は何におどろかされたか、まっしぐらにこの座敷を逃げ出しました。
そのまま梯子を駈け下りて、帳場から表入口へ飛び下りた足どり、酔がさめているのではない。
「もう時刻ですよ、泊っておいでなさい、泊っておいでなさいってば……」
帳場で支えるのを聞かず、この女は表へ飛び出してしまいました。
夜の遅いことは知っているだろうが、今が何時だかは忘れている。
「ああ口惜しいッ」
夢遊病にとりつかれたような女は、それでも本能的に自分の下駄だけは間違えないで穿き、盲目的に外へ飛び出してしまいました。
「ああ、こんなに酔っぱらっちまった、頭がガンガンして、からだが火のように熱い、ああ、わたしはうっかりして、欺されてしまった、口惜しいッ」
女はこういって、まっしぐらに外の街道を駈け出します。
この女の家は町はずれにあるはず。そこへ帰るつもりで、まるっきりちがった方角へ走っているらしい。そのくらいだから髪のくずれていることも知らない。着物のみだれていることも気がつかない。
「口惜しいッ」
と何かわからずに口惜しがって、街道を駈け出したが、やがてぱったりと物に突き当って打倒れ、その時、起き上るほどの気力がなかったと見えて、そこへころがったままでいる。