Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

家門の面目を生命より重しとする武士気質においては、父も母も変りはない。

その間に、ひとり子として生れたこのわれを、人並みすぐれた人にしてそだて上げたいとの希望は、世の常の親と同じこと。幸いにして、父母のこの希望は、家を譲る時まで空しくせられずに、ともかくも、このわれというものの生立ちを、自慢にはしようとも、恥辱とはしていなかった。「駒井の家、これよりおこるべし」と人も讃め、父もひそかに許していたこと。

頑固ながらも、目先の見えた父は、旧来の学問武芸の上に、進んで自分に洋学を学ばしめたこと。もし、父母の存生中にこの事件が起ったならば、父は必ず、われを刺し殺し、父母はさしちがえて死んでしまったに相違ない。

幸か不幸か、今の駒井甚三郎は、一婦人を愛したということが、それほどの罪とは、どうしても考えることができないから、それで死ぬ気にはなれない。

もし、自分にとって、死に価する罪がありとすれば、それは別のところにある。

駒井の最初の考えでは、ただこの家へ読みたい本を取りに来たまでで、その用が済んだ以上は、さっさと柳橋の船宿へ帰り、一日も早く房州へ引き上げてしまおう。