Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
「婆さん、お前は、なかなかよい墨筆を使いますね」
「いいえ、お恥かしうございますよ、あなた様」
「嗜みがよい、お前は和歌をやりますか」
「いいえ、どう致しまして」
駒井が、それに感心したのは、独り住みの門前婆さんのことだから、筆墨を所望されたら、狼狽してほこりの溜ったのを吹き吹き、申しわけをしながら、やっと取り出さないまでも、こんなに念の入ったのを出されようとは案外で、どうしても、和歌の一つも書きつけているものでなければ、こうは嗜みが出来ないはずと思ったからです。
「いや、お前は和歌をやりそうじゃ、さいぜん、あの墓の前でふとお前の姿を見た時に、絵に見る卒塔婆小町を思い出したよ」
「ホホホ、よく皆さんが、そんなことをおっしゃって下さいますが、西行に姿ばかりは似たれども、と申すようなものでございます」
「いいえ、お前の前生は小町かも知れない、さぞ男を悩ましたことであろうな」
といって駒井は、自分ながら口が辷り過ぎたと思いました。
「御冗談をおっしゃいます……」
この時に、水を汲んだ宇治山田の米友が帰って来ましたので、卒塔婆小町は、
「友さん、御苦労さま」
「おいらは、水を汲むのは何ともねえが、提げて来るのが骨だよ」