Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠7
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme
親類の人が時々来ては見て行きはしますけれども、小さな城廓ほどもある屋敷を、ともかく、これだけに手入れをしているのは、与八の働きといわねばなりません。
そこで与八が、剣術の道場の前に立って考えたのは、ひとしきり、この道場から、甲源一刀流の、音無しの構えなるものが起って、幾多の剣士を戦慄させたという思い出でもありません。また、この道場から宇津木文之丞との争いが起って、それから黒い風が吹き、白い雨が降り出した今日までの一切の経過でもありません。その時代はもう過ぎてしまって、今、与八がこの道場の前に立った時、ふと思いついたのは、これを利用して、お松さんと共に、多くの子供をここへ集めて育ててみたいなという希望であります。
与八が道場の庭を掃いていると、そこへ突然姿を現わした旅のさむらい。
「少々、物をたずねたいが、机竜之助の道場はこれか」
「左様でございます」
与八は、箒をとどめて、さむらいの問いに答えました。
「主人は留守か」
「はい」
「代稽古はいないか」
「おりませんでございます」
そこで、旅のさむらいは残り惜しげに道場のまわりをうろついているから、
「まあ、お休みなさいまし、ただいまは誰もおりませんけれど、道場を御覧になるならば、あけてお見せ申しましょう」