Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

田舎といっても、そんなに遠いところではありませんよ、与八さんのいるところ」

坊やは、じっとお松の顔を見て、笑いもしないでいるものですから、

「御存じでしょう、与八さんを。あの肥った、親切な人……」

その時、坊やは両手をおどらせて、うれしそうに笑いました。

「登様、もし、あなたがおいやでなければ、わたし、これから手紙を書いて、与八さんのところへ使を頼みますわ。与八さんはよろこんで承知をして下さるでしょう。ですけれども、もし、あなたがおいやですと……田舎に住んでいては出世のために悪いようですとつまりませんから、いつまでもこっちにいましょうね。どちらに致します」

といって、お松は登の顔にほおずりをしました。どちらに致すも致さないもありはしない、生れてまだ幾月もたたない子。思案に余ったことがあるものですから、お松はしきりに、このおさな児に話しかけているのです。

「それは御老女様はえらいお方だし、このお屋敷は結構なお屋敷ですけれども、なんだか世間が騒がしいものですから、あなたや、わたしは暫くあっちへ行っていた方がいいかも知れない」

お松の心を、ドチラにかきめてしまわねばならぬ時節がまもなく来ました。