Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠7

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠7 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 242.044 Zeichen · 477 Bildschirme

Aozora Bunko

先方の後立てはたかの知れた大名、こっちは二百五十年来、日本を治めて来た八百万石の将軍家のお味方だ。ともかくもこっちへ来い、人目のないところで、もう一応、貴様を吟味してみたり、また貴様の手を借りてみたいと思うこともあるのだ」

といって山崎譲は、がんりきの手から小柄を取り戻し、百蔵を促して、六所明神の森の方へ歩き出すと、がんりきもいやいやながら、それに従わないわけにはゆきません。

十二

吉原の万字楼の東雲の部屋に、夜明け方、宇津木兵馬はひとり起き直って、蘭燈の下に、その小指の傷を巻き直しています。

この傷が、妙にピリピリと痛んで眠られないのです。傷が痛むだけではない、良心が痛むのでしょう。

「起きていらっしゃるの」

障子を半ば開いて笑顔を見せた女。

「ああ、眠れないから」

兵馬は正直に答えました。そうすると女は、うちかけを引いて中へ入って来て、

「お怪我をなさったの」

「少しばかり」

「どこですか」

「この小指」

兵馬は巻きかけた右の手の小指を、女の眼の前に突き出すと、

「まあ」

と女は美しい眉根を寄せて、

「痛みますか、どうしてこんな怪我をなさいました」