Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おおさかのゆううつ

大阪の憂鬱

織田 作之助

Lesen Sie 大阪の憂鬱 (おおさかのゆううつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.647 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

などという話を見聴きすれば、やはりなつかしいが、しかし、

「大阪ですか。千日前も心斎橋も、道頓堀も、新世界も、あ、それから、法善寺横丁も、鴈治郎横丁も、みんな復興しましたよ。大阪は逞しいもんですよ」

と、さりげなく言って、嘯いておれるだろうか。

いつか阿倍野橋の闇市場の食堂で、一人の痩せた青年が、飯を食っているところを目撃した。

彼はまず、カレーライスを食い、天丼を食べた。そして、一寸考えて、オムライスを注文した。

やがて、それを平げると、暫らく水を飲んでいたが、ふと給仕をよんで、再びカレーライスを注文した。十分後にはにぎり寿司を頬張っていた。

私は彼の旺盛な食慾に感嘆した。その逞しさに畏敬の念すら抱いた。

「まるで大阪みたいな奴だ」

所が、きけばその青年は一種の飢餓恐怖症に罹っていて、食べても食べても絶えず空腹感に襲われるので、無我夢中で食べているという事である。逞しいのは食慾ではなく、飢餓感だったのだ。

私は簡単にすかされてしまったが、大阪の逞しい復興の力と見えたのも、実はこの青年の飢餓恐怖症と似たようなものではないかと、ふと思った。

千日前や心斎橋や道頓堀や新世界や法善寺横丁や鴈治郎横丁が復興しても、いや、復興すればするほど、大阪のあわれな痩せ方が目立って仕様がないのである。