Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおさかのゆううつ

大阪の憂鬱

織田 作之助

Lesen Sie 大阪の憂鬱 (おおさかのゆううつ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.647 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

のは例えば梅田の闇市場を歩いていても、どこをどう通ればどこへ抜けられるのか、さっぱり見当がつかず、何度行ってもまるで迷宮の中へ放り込まれたような気がするという不安な感じがするという意味である。

かつて私は大阪のすくなくとも盛り場界隈だけは、どこの路地を抜ければ何屋があり、何屋の隣に何屋があるということを、隅隅まで知っていた。大阪の町を歩いて道に迷うようなことはなかった。ところが、梅田あたりの闇市場では既にして私は田舎者に過ぎない。旅馴れぬ旅行者のように、早く駅前へ出ようとうろうろする許りである。顔見知りもいない。

よしんば知人に会うても、彼もまたキョロキョロと旅行者のような眼をしているのである。

いわば、勝手の違う感じだ。何か大阪に見はなされた感じなのだ。追ん出てしまった古女房が鉱山師か土木建築師の妾に収まって、へんに威勢よく、取りつく島もないくらい幅を利かしているのに出会った感じだと、言ってもよい。勝手にしやがれと、そっぽを向くより致し方がない。しかし、コテコテと白粉をつけていても、ふと鼻の横の小さなホクロを見つけてみれば、やはり昔なつかしい古女房である。