Japanische Klassiker mit Furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Lesen Sie 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.024 Zeichen · 28 Bildschirme
半面美人
(以下略)
この事があってから三十年、天保初年頃には表具師幸吉加賀の白山に籠り、益々飛行機の研究を積んで、鼓翼飛行から滑翔飛行機にまで発見を進めて居たのです。
半面美人
「ひと休みしたお蔭で、すっかり元気になったよ、豆ねじに渋茶も、時に取っては何よりの御馳走だ、陽の高いうちに、少しでもお山の近くへ行くとしようか」
三十二三の旅人は、振り別けの荷物を肩に、陽ざしを眺め乍ら腰をあげました。
江戸の商人という拵えで、陽に焦けた浅黒い顔、キリリとした眼鼻立ち、身体にも足拵えにも五分の隙もありませんが、莞爾するととんだ愛嬌のある顔で、苦味走ったうちに、どっか憎めない男振りです。
時は天保二年秋の初め、まだ山々の紅葉も淡く、加州鶴来町から、手取川の本流に沿うて、霊峰白山に登る道は、白々と緑の中に隠見するのでした。
「お客様は何処へ行きなさるだよ」
茶店の女房は茶代の鳥目を読み乍ら、珍しく気前の良い客に問いかけました。
「心願の筋があって御前岳の白山神社に御詣りする積りだが――」
旅人はもう一度縁台に腰をおろしました。茶店の女房の顔には、なんか知ら由々しいものがあったのです。