Japanische Klassiker mit Furigana
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てんぽうのひこうじゅつ
天保の飛行術
野村 胡堂
Lesen Sie 天保の飛行術 (てんぽうのひこうじゅつ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.024 Zeichen · 28 Bildschirme
山手形
「あ、お客様、まだ居たのかえ」
「忘れちゃ困るぜ、私を隠くしてくれたのはお神さんじゃないか、――まア宜いや、あの話の様子じゃ、白山はどう考えても穏やかな山じゃねエ。――大槻伝蔵の亡霊は怖くないが、あっしは、あんな恥を知らない人間が恐しいのさ、――お神さんの言葉に従って、山入りは止めにしようよ」
「それが宜いだよ、どんな心願の筋があるか知らないが、此の節の白山に入るのは、命を捨てに行くようなものだ」
「有難う――それじゃお神さん」
若い旅人は茶店を出ると真直ぐに金沢の方へ帰ると見えましたが、実は藪をくぐり、木立を抜けて、そっと白山の方へ取って返します。
山手形
「待て、待て、待てッ」
バラバラと礫のように飛び出した山役人、木下闇を分けて山路に差しかかった旅人清作の行手に立ち塞がりました。
「ヘエ、ヘエ、ヘエ」
其の儘大地へへた張りそうになった清作、その上へ嵩にかかって、
「何処へ行くのだ、不届者、入山禁制の制札が見えぬかッ」
六尺棒を鳴らしてワメキ立てるのです。
「心急ぎましたので、ツイうっかりいたしました、ヘエ」
清作は大地に膝を突いて、陽除けの頬冠りを取りました。