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Japanische Klassiker mit Furigana

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たろうぼう

太郎坊

幸田 露伴

Lesen Sie 太郎坊 (たろうぼう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.863 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

気に入らなかったことは皆忘れても、いいところは一つ残らず思い出す、未練とは悟りながらも思い出す、どうしても忘れきってしまうことは出来ない。そうかと云ってその後はどういう人に縁付いて、どこにその娘がどう生活しているかということも知らないばかりか、知ろうとおもう意も無いのだから、無論その女をどうこうしようというような心は夢にも持たぬ。無かった縁に迷いは惹かぬつもりで、今日に満足して平穏に日を送っている。ただ往時の感情の遺した余影が太郎坊の湛える酒の上に時々浮ぶというばかりだ。で、おれはその後その娘を思っているというのではないが、何年後になっても折節は思い出すことがあるにつけて、その往昔娘を思っていた念の深さを初めて知って、ああこんなにまで思い込んでいたものがよくあの時に無分別をもしなかったことだと悦こんでみたり、また、これほどに思い込んでいたものでも、無い縁は是非が無いで今に至ったが、天の意というものはさて測られないものではあると、なんとなく神さまにでも頼りたいような幽微な感じを起したりするばかりだった。お前が家へ来てからももうかれこれ十五六年になるが、おれが酒さえ飲むといえばどんな時でも必らずあの猪口で飲むでいたが、談すには及ばないことだからこの仔細は談しもしなかった。