Japanische Klassiker mit Furigana
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たろうぼう
太郎坊
幸田 露伴
Lesen Sie 太郎坊 (たろうぼう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.863 Zeichen · 16 Bildschirme
返って来ればチャンと膳立てが出来ているというのが、毎日毎日版に摺ったように定まっている寸法と見える。
やがて主人はまくり手をしながら茹蛸のようになって帰って来た。縁に花蓙が敷いてある、提煙草盆が出ている。ゆったりと坐って烟草を二三服ふかしているうちに、黒塗の膳は主人の前に据えられた。水色の天具帖で張られた籠洋燈は坐敷の中に置かれている。ほどよい位置に吊された岐阜提灯は涼しげな光りを放っている。
庭は一隅の梧桐の繁みから次第に暮れて来て、ひょろ松檜葉などに滴る水珠は夕立の後かと見紛うばかりで、その濡色に夕月の光の薄く映ずるのは何とも云えぬすがすがしさを添えている。主人は庭を渡る微風に袂を吹かせながら、おのれの労働が為り出した快い結果を極めて満足しながら味わっている。
ところへ細君は小形の出雲焼の燗徳利を持って来た。主人に対って坐って、一つ酌をしながら微笑を浮べて、
「さぞお疲労でしたろう。」
と云ったその言葉は極めて簡単であったが、打水の涼しげな庭の景色を見て感謝の意を含めたような口調であった。主人はさもさも甘そうに一口啜って猪口を下に置き、
「何、疲労るというまでのことも無いのさ。