Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しっちょうき

失蝶記

山本 周五郎

Lesen Sie 失蝶記 (しっちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.072 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

おすえは手を引くことでその意味を知らせた。主計は旅嚢を背に結びつけて立ち、戸口から外へ出た。すると急に左と右に提灯があらわれた。かれらはうまくやったのだ、かこい小屋のことは茂七が知っていたであろう、しかしそこへ踏み込むより、外へおびきだすほうが安全だ。かれらは治兵衛が知らせに来るのを待っていたのだろうか、それともおすえがぬけ出したのを知っていたのかもしれない。

――突然くら闇の中からあらわれた提灯を見て、おすえは悲鳴をあげ、主計は一歩うしろへさがった。左には茂七と若侍、右にはあの娘と下僕らしい男がいた。提灯は茂七と下僕が持っていた。

「吉川だな」主計は若侍を見て云い、娘を見て吃驚したように云った、――「紺野、かず子さん」

吉川と呼ばれた侍は、ふところから折りたたんだ紙を出し、それをひろげて、提灯の光りにかざしてみせた。美濃紙を二枚貼り合せたものに、大きな字でなにか書いてあり、吉川はそこからこれを読め、という手まねをした。主計は娘のほうを見、それから二歩ばかり進んで、紙に書いてある文字を読んだ。

――そのもとは杉永幹三郎を闇討ちにした。紺野かず子どのは祝言こそあげていないが、杉永とかねてから婚約の仲であり、そのもとを良人の仇として討つ覚悟でおられる。