Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.286 Zeichen · 20 Bildschirme
併し、この無造作なうちにも包み切れない品位と、弱気のくせに純情らしいところが、すっかり遠藤父娘の気に入りました。
父金森兵部少輔の暴政に、日毎に荒み行く領内の気風や、八幡城の不道徳な生活など、頼門に取っては噴火山上の生活のように思えてならなかった折、山中のこの清らかな生活は、どんなに心持を和めてくれたことでしょう。
留むるままに、五日、十日と滞在の日を重ねました。やがて山には茸も生え、栗も実りました。娘の桂と頼門の亥太郎は、昨日も今日も、ふごを提げ、背負籠を背負って、冬の間の食糧の用意に、山から山へと歩き廻ったのです。三万八千石の御曹司にとって、それは何んという魅惑的な、そして清らかな生活だったでしょう。
その間にも二人の間の親しみは、若い男女の最後の感情に変って行きました。花を持った手を組んだり、栗の枝へ抱き上げてやったり、谷川の水鏡に顔を並べて映したりして居る間に、二人は何時の間にやら、長い間手を握り合ってじっとして居たり、娘は男の懐中に顔を埋めて、何んという理由もなく、シクシク泣き出すような仲になって居りました。
城下から行列を揃えてやって来たら、恐らく一ぺんに断られた筈の出雲守頼門は、こうして、一介の浪人土岐亥太郎として、山の娘――実は先の城主の姪なる桂姫と、何物も割くことの出来ない仲になって