Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.195 Zeichen · 22 Bildschirme
四
その日の早朝用事があって東京に出た喜田川三郎氏は、電話で呼び返され、百方手を尽して海を捜索しましたが、夫人の死骸も千束守の死骸も、それっ切り揚りません。
三郎氏の悲嘆は、まことに眼も当てられぬ有様でした。大の男が、よくもあんなに、恥も外聞も忘れて泣き悲しんだものだと評判されたほどです。葬いが済んで何も彼も一段落を告げると、夫人を死に導いた別荘は見るのも嫌だと言って、その年のうちに取りつぶさせ、一人取残された喜田川三郎氏は、野心も、功業も、名誉も、利益も振り棄てて、そのまま何処とも知れぬ放浪の旅に上ってしまいました」
四
「ところで諸君」
倉繁大一郎は急に話題を転じました。
「志津子夫人と千束守の死が、私の挙げた四つの死の場合の第二、即ち偶然の過失死と見做されて十年経ちました。が、私は測らずも手に入れた、二人の日記と手紙から、この悲劇は決して偶然に起ったものでなく、充分に研究され、計画し実行したところの死――即ち第三の場合の、自殺による死であったことを確めたのです。
あんなに騒がれた閨秀画家と、人気の絶頂にあった花形歌手は、まさに神人共に許さざる、愚婦愚夫のすなる心中という方法を採って死んだことを、此処に用意した、いろいろの記録が証明して居ります。