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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.195 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

いや、喜田川三郎に常識があるならば、自分の名誉を救うために、不貞の妻の日記と、奸夫千束守の手紙は、形も残さずに焼払うのが本当です。

それを、そんなことをせずに、誰かが自分の家を買って、その人が日記や手紙を発見した時、志津子夫人と千束守が、情死をしたに違いないと判じさせるように鋏を入れ、墨でなすったのは、前に重大な目的があってした事では無かったでしょうか。

つまり喜田川三郎にしては、万一の場合に、自分の不貞の妻と千束守が、「情死したという証拠」を残して置きたかったのでは無いでしょうか。

何んでも無い手紙や日記に鋏や墨を入れて、恋や死を判じさせるのは、決してなまやさしい事ではありませんが、併し、少しく頭の良い者に取っては、それは決して出来ない事ではないのです。志津子夫人や千束守の平凡な日記や手紙も、鋏や墨を入れて、そんな目的のために悪用されたのではないでしょうか。

もう一度その手紙と日記を検討して、切り抜かれたり、削られたりした文字のところに極めて平凡な、当り前の言葉を入れて見て下さい。少くとも、切り抜かれ抹消された文字を無視して、残る文字だけを綴って、恋と判じ、死と読むのは、それはいかにも浅墓なことではありませんか。