Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.195 Zeichen · 22 Bildschirme
二
二
話の選手倉繁大一郎は、聴衆に与える感銘を打診し乍ら、話し上手に、斯う話し続けました。
「――その喜田川三郎氏が、奥さんの志津子さんを、どんなに溺愛したことか、――これは二人の結婚の成立から話して行かなければよくわかりませんが、あまり話が長くなりますから、兎も角奥さんの両親が、昭和初年の財界の変動で破産に瀕した時、巨万の金を投げ出して、恐ろしい不名誉と陥ちかかった貧苦の淵から救い、その代償として、――誠に怪しからぬことですが、お嬢さんの志津子さんを迎え容れ、喜田川夫人として披露したのだと申上げただけで充分だろうと思います。
志津子さんが喜田川夫人になったのは本意であったか不本意であったか、其処まではわかりません。併し、喜田川三郎氏の並々ならぬ寵愛を利用して、相当以上に我儘であったことも、明らかな事実であります。あの国宝阿修羅王のような、不思議な野蛮さと美しさとを持った志津子夫人が、精一杯御主人に我儘を言う図を想像して下さい。あの人が嬌瞋を発して、喜田川三郎氏に涙乍ら訴えると、実業界であんなに鳴らした喜田川三郎氏は、全く海月のようになってしまうのも有名な事でありました。