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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶぎょうとにんそうがく

奉行と人相学

菊池 寛

Lesen Sie 奉行と人相学 (ぶぎょうとにんそうがく) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.053 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

これは、あきらかに将軍が、朱でマルをかくのを、忘れたのである。書いたつもりで、次をめくってしまったのである。将軍の不注意であることに、相違なかった。

老中が見たと云うしるしはついて居るが、将軍の朱筆はないのである。幕府に伺ったが、将軍が死罪を裁下しなかったと云う形式がととのっている。

越前は、同心ともう一度差し出すべきかどうかを相談した。しかし、もう一度差し出す事は、将軍の不注意を、とがめ立てするようにも当るのである。形式は、ととのっているのだから、死一等を減じて判決した方が、合法的なのである。

越前は、長吉の相にめでて、もう一度長吉をゆるしてやることを決心した。そして、意地にも改心させて見ようと思った。

越前は、同心達に云った。

「われわれ人間のさばきには、どうしても間違いがある。長吉の名前に、朱筆がないのは、将軍家の御失念かも知れないが、やはり人間のあやまちを正す天意かも知れないと思う。わしは、もう一度長吉をゆるして見ようと思う」

同心達も、越前のふかい考え方に賛成した。

間もなく、判決の日が来た。

越前の前に、引き出された長吉は、面目なげに、うつむいたままである。