Japanische Klassiker mit Furigana
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おくのうみ
奥の海
久生 十蘭
Lesen Sie 奥の海 (おくのうみ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.005 Zeichen · 26 Bildschirme
「女というものは、片付けようと思えば、どうにでも片付くものらしい」
出窓のかまちに両肱をあずけ、金十郎が呆れ顔でつぶやいた。
「それにしても、お美しいことだ」
なにもかも整いすぎ、それが障りで、人形のような無表情な顔になっているが、見ていると、心がはずみだすほど美しい。
二人の結びつきは、恋というようなものではなかった。美しいちかの顔を、美しいと思ってながめていられるのが、その証拠である。恋ではない、なにかべつなものだ。
こちらには、もろい、かよわいものをかばい、世話をしてやりたいという強い気持がある。むこうには、この男なら頼りになる、末始終、劬ってくれるだろうという信頼の念がある。そういうかたちのものらしい。
そうして、どうやらそれは食の道につながっているようである。知嘉姫が長屋に入りこんできた夜、はからずもそれを見抜いた。
塗の剥げた飯櫃に、炊きたての飯を移して膳のわきにすえてやると、知嘉姫は、
「白飯を、こんなにもたくさんいただけるのでしょうか」と顔をうつむけて涙ぐみ、食うわ、食うわ、見ていても気持のいいほど、あざやかに食いぬけ、箸をおくと畳に手をついて、