Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなきゃく
女客
泉 鏡花
Lesen Sie 女客 (おんなきゃく) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.052 Zeichen · 16 Bildschirme
「ううむ、内じゃないの。お濠ン許で、長い尻尾で、あの、目が光って、私、私を睨んで、恐かったの。」
と、くるりと向いて、ひったり母親のその柔かな胸に額を埋めた。
また顔を見合わせたが、今はその色も変らなかった。
「おお、そうかい、夢なんですよ。」
「恐かったな、恐かったな、坊や。」
「恐かったね。」
からからと格子が開いて、
「どうも、おそなわりました。」と勝手でいって、女中が帰る。
「さあ、御馳走だよ。」
と衝と立ったが、早急だったのと、抱いた重量で、裳を前に、よろよろと、お民は、よろけながら段階子。
「謹さん。」
「…………」
「翌朝のお米は?」
と艶麗に莞爾して、
「早く、奥さんを持って下さいよ。ああ、女中さん御苦労でした。」
と下を向いて高く言った。
その時襖の開く音がして、
「おそなわりました、御新造様。」
お民は答えず、ほと吐息。円髷艶やかに二三段、片頬を見せて、差覗いて、
「ここは閉めないで行きますよ。」
明治三十八(一九〇五)年六月