Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなごころのつよければ
女心の強ければ
豊島 与志雄
Lesen Sie 女心の強ければ (おんなごころのつよければ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 47.011 Zeichen · 94 Bildschirme
愛欲的要素が多すぎ、精神的要素が少ない、というのではない。真の交感が乏しい、というのでもない。ただなにかしら盲目的な棄鉢なところがあるのだ。千代乃にもそれがある。長谷川にもそれがある。将来への計画とか見通しとかは立たない。千代乃がいくら自立的生活というようなことを手紙に書いたところで、それがどれだけの力を持つものか。
成り行きに任せるということに、長谷川は甘えた。甘えて、そして子供のようになり、千代乃を慕った。
千代乃を待ちこがれて、長谷川は、三田の伯母さん、菊池久恵さんのところをも訪れた。千代乃からは何の消息も来ていなかった。
「あのひとも気まぐれでしてねえ。」と久恵は言い、それから言い添えた。「なにか思いこむと夢中になってしまいますよ。」
そばで、娘の敏子がくすりと笑った。
「あら、おかしいわ。気まぐれと、夢中になるのと、同じことかしら。」
邪気はないのだ。久恵も眼をくるりとさして、ほほほと笑った。
長谷川が招じられたその室は、謂わば久恵の仕事部屋で、いろんなものがごたごたと取り散らされ、そして整理されてるのである。縁側にはミシンがあり、袋戸棚の上には硝子の人形棚があり、鴨居の上に漢書の横額、壁に複製の洋画静物、針仕事の机、針箱、訳のわからぬいろんな小道具、柳甲李など。