Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなごころしゅうい
女心拾遺
矢田 津世子
Lesen Sie 女心拾遺 (おんなごころしゅうい) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.514 Zeichen · 36 Bildschirme
夜分早くに寝室へ入った唐沢氏がおしもに頭を揉ませているのにも格別疑いをはさまなかったし、まして、古書を探しに唐沢氏がおしもをつれて蔵へ入るのは、夫人にとっては普通事であった。良人に信頼をおく――そんな気もちよりも、てんからおしもを子供扱いにしているので、疑いの心が起ってこないのだった。それだけに、夫人は今度のことを自分の落ち度に思うのである。子供だと気をゆるして安気に構えていた自分へ肚が立つ。そして、舌をちょろつかせてものを言う甘えようや、始終ニコニコと笑っているこのあどけない顔が良人を誘惑するてだったのか、と夫人は今十九のおしもに四十年増の手練手管を見た気がする。
この日、慶太郎が学校へ出かけて間もなく、痛む脚を日向で揉んでいた老夫人のもとへ、竹早町の横尾から電話がかかってきた。姉娘の園子の嫁いだ先きである。お春に代って聴かせると、園子の声でこれから伺ってもよいか、という。先刻から園子を招び寄せたい衝動で騒ぎたっていた夫人の心は、この言葉をきいて急に潤されたような落付きをとりもどした。そして、もう愬えている自分の姿が眼前にちらつき、涙がこみあげてくる。