Japanische Klassiker mit Furigana
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じょなん
女難
国木田 独歩
Lesen Sie 女難 (じょなん) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.695 Zeichen · 45 Bildschirme
されど盲人なる彼れの盲目ならずとも自分を見知るべくもあらず、しばらく自分の方を向いていたが、やがてまた吹き初めた。指端を弄して低き音の縷のごときを引くことしばし、突然中止して船端より下りた。自分はいきなり、
「あんまさん、私の宅に来て、少し聞かしてくれんか」
「ヘイ、ヘイー」と彼は驚いたように言って急に自分の顔を見て、そしてまた頭を垂れ首を傾け「ヘイ、どちら様へでも参ります」
「ウン、それじゃ来ておくれ」と自分は先に立った。
「お前の眼は全く見えないのかね」と四五歩にして振り返りさま自分は問うた。
「イイエ、右の方は少し見えるのでございます」
「少しでも見えれば結構だね」
「ヘエ、ヘヘヘヘヘ」と彼は軽く笑ったが「イヤなまじすこしばかり見えるのもよくございません、欲が出ましてな」
「オイ橋だぞ」と溝にかけし小橋に注意して「けれども全く見えなくちゃアこんなところまで来て稼ぐわけにゆかんではないか」
「稼ぐのならようございますが流がすので……」
「お前どこだイ、生まれは」
「生まれは西でございます、ヘイ」
「私はお前をこの春、銀座で見たことがある、どういうものかその時から時々お前のことを思いだすのだ、だから今もお前の顔を一目見てすぐ知った」