Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こうい

好意

豊島 与志雄

Lesen Sie 好意 (こうい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.059 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

そして、つい話し込んで云いそびれたから、私へお渡ししておくと云って……。」

そこで吉岡はまた黙り込んで、仰向に寝たまま天井を睥めていた。それが十分か十五分も続いた。敏子さんはどうしていいか分らなくなって、彼の枕頭に散らかってる画集や雑誌などを片付けた。すると、其処にぽつりと置き残されてる洋封筒へ、吉岡は急に片手を差伸して、中の紙幣を引出したが、暫くじっと見てた後に、苛立たしく投り出した。紙幣がぱっと乱れ散った。

「まあー。」

呆気にとられてる所へ、怒った声で押っ被せられた。

「勝手にするがいい。」

敏子さんは面喰った気持で、散らかってる紙幣をぼんやり眺めていた。そこへ看護婦がはいって来た。敏子さんは顔を真赤にして、紙幣をかき集めた。

「あら、どうなさいましたの。」

不用意に発した言葉に看護婦も自分でまごついて、室の隅っこへ行って坐った。

吉岡は一言も発しなかった。何か一心に考え込んでるらしい眼付で、じっと天井を睥め続けていた。暫くたって敏子さんが言葉をかけても、眉根一つ動かさなかった。病気が悪くなってから、彼のそういう執拗な不機嫌さに馴れていたので、敏子さんは強いて問題に触れないことにして、金を納めた洋封筒を帯の間に差入れた。