Japanische Klassiker mit Furigana
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ようば
妖婆
Lesen Sie 妖婆 (ようば) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.473 Zeichen · 73 Bildschirme
」と、またさっきの返事を促しました。するとお敏はしばらくの間、蒼黒く石垣を浸している竪川の水を見渡して、静に何か口の内で祈念しているようでしたが、やがてその眼を新蔵に返すと、始めて、嬉しそうに微笑して、「もうここまで来れば大丈夫でございますよ。」と、囁くように云うじゃありませんか。新蔵は狐につままれたような顔をして、無言のままお敏の顔を見返しました。それからお敏が、自分も新蔵の側へ腰をかけて、途切れ勝にひそひそ話し出したのを聞くと、成程二人は時と場合で、命くらいは取られ兼ねない、恐しい敵を控えているのです。
元来あのお島婆さんと云うのは、世間じゃ母親のように思っていますが、実は遠縁の叔母とかで、お敏の両親が生きていた内は、つき合いさえしなかったものだそうです。何でも代々宮大工だったお敏の父親に云わせると、「あの婆は人間じゃねえ。嘘だと思ったら、横っ腹を見ろ。魚の鱗が生えてやがるじゃねえか。」とかで、往来でお島婆さんに遇ったと云っても、すぐに切火を打ったり、浪の花を撒いたりするくらいでした。が、その父親が歿くなって間もなく、お敏には幼馴染で母親には姪に当る、ある病身な身なし児の娘が、お島婆さんの養女になったので、自然お敏の家とあの婆の家との間にも、親類らしい往来が始まったのです。