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Japanische Klassiker mit Furigana

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ようえい

妖影

大倉 燁子

Lesen Sie 妖影 (ようえい) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.489 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

恐らくこれより安全な方法はあるまい。しかし私がこの大切な暗号を持っている事を誰も知っているはずはないのだから、自分さえ用心していれば大丈夫だろう。余りそんな事ばかり考えていると神経衰弱になってしまうからな。とにかくいま少し朗らかにやることだ。――と、こんなことを考えながら食堂へ入って行った。

私の席は事務長の傍にとってあった。少し遅れて出て来たので、もう食事は始まっていた。円い卓子を囲んだ五六人の客は事務長を相手に盛に談笑しながら、ホークやナイフを動かしていた。皆元気な若い男ばかりだったので、この卓子が一番賑やかだ。そろそろデザートを運ぼうとしている頃になって、二人連れの支那人が静かに入って来て、私の隣りの空席へ坐った。よほど身分のある人だろうということは、その服装からでも一と目で知れる。

多分お父さんとお嬢さんだろう、どこやら面ざしが似ている。男の方は少し前屈みで背がひょろ高かった。顔はまだ若い、それだのに頭髪は真白だった。

お嬢さんは二十四か五か、桃色の支那服がいかにも奇麗で可愛らしく見えた。しかしこれは病人らしく思えた。小柄で恐しく痩せて蒼白い顔をしているが、非常な美婦人だ。