Japanische Klassiker mit Furigana
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つまのざ
妻の座
壺井 栄
Lesen Sie 妻の座 (つまのざ) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 82.695 Zeichen · 165 Bildschirme
そのときミネの前の若い男が上半身をとび上らせるような身ぶりで、
「うへえ!」
と奇声をあげた。するとそのまわりの二三人の男たちが、わっは、わっはと笑い出した。何ごとかとのぞいてみると、男は竹の皮包みの弁当をひろげながら、てれ笑いをしている。弁当包みはぺちゃんこにひしゃげていた。くすくす笑う人たちにかこまれて男は、もう覚悟をきめたというように竹の皮をはがした。一せいに笑い声がばく発した。幾つかのむすびが中の梅干を花模様にして一枚のせんべいになっているのだ。男は弁当のことを忘れて、その上に腰かけていたのだという。彼は悪びれもせずそのせんべいをちぎって食べはじめた。すると又一しきりみんながおかしがった。ミネも一しょに忍び笑いをしていると、ミネと顔を合せたつれの男が、
「これでもね、新婚の女房がつくった弁当なんですよ。彼は女房を尻の下にしいている証拠ですね。」
聞いているうちにミネはもうこらえ性もなくおかしくなり、腰を曲げて声をあげて笑った。おかしさはなかなかとまらなかった。悠吉にも教えると、悠吉もへらへら笑った。人々の笑声の中で男はゆうゆうと食べ終り、ミネの顔をみて笑いながらいった。