Japanische Klassiker mit Furigana
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うばすて
姥捨
Lesen Sie 姥捨 (うばすて) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.853 Zeichen · 29 Bildschirme
「よく来たねえ。」
と一こと言った。
そとは、いくらか明るくなっていて、まっ白な山腹が、すぐ眼のまえに現われた。谷間を覗いてみると、もやもや朝霧の底に一条の谷川が黒く流れているのも見えた。
「おそろしく寒いね。」嘘である。そんなに寒いとは思わなかったのだが、「お酒、のみたいな。」
「だいじょうぶかい?」
「ああ、もうからだは、すっかりいいんだ。ふとったろう。」
そこへかず枝が、大きい火燵を自分で運んで持って来た。
「ああ、重い。おばさん、これ、おじさんのを借りたわよ。おじさんが持っていってもいいと言ったの。寒くって、かなやしない。」嘉七のほうに眼もくれず、ひとりで異様にはしゃいでいた。
ふたりきりになると急に真面目になり、
「あたし、疲れてしまいました。お風呂へはいって、それから、ひとねむり仕様と思うの。」
「したの野天風呂に行けるかしら。」
「ええ、行けるそうです。おじさんたちも、毎日はいりに行ってるんですって。」
主人が大きい藁ぐつをはいて、きのう降りつもったばかりの雪を踏みかため踏みかため路をつくってくれて、そのあとから嘉七、かず枝がついて行き、薄明の谷川へ降りていった。