Japanische Klassiker mit Furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Lesen Sie 婦系図 (おんなけいず) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 172.760 Zeichen · 343 Bildschirme
ね、蔦ちゃんの前だけれど、」
「今度は私が背後を向こうか。」
とお蔦は、下に居る女中の上から、向うの棚へ手を伸ばして、摺鉢に伏せた目笊を取る。
「そらよ、こっちが旦の分。こりゃお源坊のだ。奥様はあらが可い、煮るとも潮にするともして、天窓を噛りの、目球をつるりだ。」
「私は天窓を噛るのかい。」
お蔦は莞爾して、め組にその笊を持たせながら、指の尖で、涼しい鯛の目をちょいと当る。
「ワンワンに言うようだわ、何だねえ、失礼な。」
とお源は柄杓で、がたりと手桶の底を汲む。
「田舎ものめ、河野の邸へ鞍替しろ、朝飯に牛はあっても、鯛の目を食った犬は昔から江戸にゃ無えんだ。」
「はい、はい、」
手桶を引立てて、お源は腰を切って、出て、溝板を下駄で鳴らす。
「あれ、邪険にお踏みでない。私の情人が居るんだから。」
「情人がね。」
「へい、」
と言ったばかり、こっちは忙がしい顔色で、女中は聞棄てにして、井戸端へかたかた行く。
「溝の中に、はてな。」
印半纏の腰を落して、溝板を見当に指しながら、ひしゃげた帽子をくるりと廻わして、
「変ってますね。」
「見せようか。」
「是非お目に懸りてえね。」
「お待ちよ、」