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Japanische Klassiker mit Furigana

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よめとりむことり

嫁取婿取

佐々木 邦

Lesen Sie 嫁取婿取 (よめとりむことり) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.654 Zeichen · 175 Bildschirme

Aozora Bunko

これ丈けの人数を抱えて失業をしては大変と、只管消極的齧附主義を奉じて来たので、出世をし損ねた。夫婦の一生は全く子供の為めの一生だった。

古い法学士で二流会社の課長は食い足らない。温厚な山下さんも時に腑甲斐なく感じる。しかし同窓には自分よりも悪いのが少数ある。上を見れば果しがない。それに成功した連中には妙に家庭の円満を欠くのや子供の好くないのが多い。然ういう旧友に会うと思いもかけない愚痴を聞かされる。山下さんはその都度、

「金が出来ても子供が厄挫ものになっちゃ仕方がない。何あに、此方だって生活に困るんじゃないからね」

と自ら慰める。

「本当でございますよ。斯うして二人揃って子供を育てゝ行ければ些とも不足はございませんわ」

と夫人も決して足掻かない。

山下夫婦は子供を唯一の成功と心掛けている。大抵の家庭は然うである。又然うであるのが本当だ。殊に子煩悩な山下さんは何かにつけて子供の自慢話をする。課員は心得たものだ。

「課長さんのところは皆御成績がおよろしいですが、何か秘伝がありますか? 参考の為めに承わらせて戴きたいものです」

と御機嫌を取る。社長も狡い。昇給を半期延しても子供を褒めてやれば宜いと思っている。