Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
こをうばう
子を奪う
豊島 与志雄
Lesen Sie 子を奪う (こをうばう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.292 Zeichen · 80 Bildschirme
然し兼子に子供が出来ないということは、まだ確定した事実ではなかった。ただ四年間の結婚生活によって裏書きされてるのみだった。不妊の「かも知れない。」を肯定するならば、手術の効果の「かも知れない。」をも肯定していいわけだった。然し幾代も兼子も手術を嫌った。そして、不妊の「かも知れない。」を肯定しっつ、それを実は打ち消そうとしていた――奇蹟を信ずるような心で。
「よその子供を育てると、不思議に家でも児が出来る。」
馬鹿、馬鹿! と彼はやけに首を振った、そんな迷信で生活の調子を狂わしてはいけない。子供とはいえ、一人の存在を弄んではいけない。
「そんなら、」と兼子は云った、「私にはその子供を愛せられないと思っていらっして?」
然し彼から云わせると、それがなおいけなかったのだ。愛しようと欲することと愛するという事実とは、別なものであった。彼女はそれを混同していた。他の女と良人との間の子を引取って、それを実の母のように愛すること――愛したいということ、其処に彼女の任侠的な感傷があった。そして子供の上に一種の美しい幻を投げかけていた。
「僕はお前を愛するから、」と彼は云った、「僕の過去の暗い罪で、お前の生活を乱したくない。