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Japanische Klassiker mit Furigana

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こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lesen Sie 子を奪う (こをうばう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.292 Zeichen · 80 Bildschirme

Aozora Bunko

――然しなぜか、その守札は仏壇の上に乗せられたままになった。

俺は……俺が……これから依子の運命を護ってやろう、と彼は心の中でくり返した。

然し依子の日常は、殆んど幾代と兼子との手中に在った。彼は傍からただじっと、依子の姿を見守るの外はなかった。彼は殊に依子の膝のない坐り姿を好んだ。膝がすっかりエプロンの下に隠れてしまって、遠くで見ると胴体だけで坐ってるかのようだった。彼は近づいていって、坐ったままの彼女を抱き上げた。彼女は足と手とを伸そうと※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)いた。小鳥のようにこまこました運動が彼の腕に感ぜられた。

「あら、まあー!」と兼子は或る時叫んだ。彼女は坐ってる依子のエプロンをめくっていた。依子は小さな足できちんと胡坐をかいていた。「この子は胡坐をかいて坐っていますよ」

依子は兼子の顔を見、それから彼の顔を見ていたが、つと立ち上って室の隅っこに逃げてゆき、くるりと向うを向いたまま、いつまでもじっと佇んでいた。兼子はそれを抱いてきた。

「極り塞がってるのね。胡坐をかいてもよござんすよ。可愛いあんよね」と兼子は云った。「さあお坐りしてごらんなさい。