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Japanische Klassiker mit Furigana

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こをうばう

子を奪う

豊島 与志雄

Lesen Sie 子を奪う (こをうばう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.292 Zeichen · 80 Bildschirme

Aozora Bunko

と襖の外から呼び立てた。兼子はもう眠っていたが、彼は変な気持ちで夢想に耽っていた。幾代の声を聞いてすぐに飛び起きた。傍の兼子を揺り起しながら駈けて行った。幾代の室へはいると、彼はぞっとした。幾代はいつも電気に二重の絹覆いをして寝るのであった。その薄ぼんやりした光り――というよりは寧ろ明るみの中に、依子が惘然とつっ立っていた。眼だけを大きく見開いて、没表情な硬ばった顔付だった。彼は一寸躊躇した。それから猛然――そう自ら意識した勢で、側に走り寄った。そうして依子を捉えようとすると、依子はその手を異常な力で押しのけた。其処へ兼子と幾代とが後れてやって来た。兼子が進み出た。依子はそれを押しのけた。兼子は危く倒れようとした。彼が代って掴みかかった。依子はそれをくるりとくぐりぬけて、室の隅にぴったり身を寄せた。向う向きになって、突然大声に泣き出した。彼はそれを背後から捉えた。身を※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)くのを無理に押えつけて、布団の上に寝かした。すると依子はぐったりと身を投げ出して、泣き止んだまま黙ってしまった。三人はその周囲に立ち並んだ。