Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

きせつのしょくぶつちょう

季節の植物帳

佐左木 俊郎

Lesen Sie 季節の植物帳 (きせつのしょくぶつちょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.671 Zeichen · 10 Bildschirme

Aozora Bunko

○

北海道の人里はなれた植民地に咲く福寿草は、そこに孤独な生活を送る人々の心を、どんなに慰めることでしょう。長い間を雪に埋もれて、郷里を憧れ、春の陽光を待ちわびている孤独な人達が、そろそろ雪が消えて、斑らに地肌が見えかけて来た時、雪間がくれに福寿草の咲いているのを見たら、どんなによろこぶことでしょう。そしてはまた、郷里を想い、自分達の活動を想い、淋しい生活を振り返って、感慨無量の涙にくれるに相違ないのです。

○

福寿草は、孤独な人々の心をよく知ってくれます。そして慰めてくれます。もうよぼよぼになったお爺さんが、長い白い髭を垂れて日当たりのいい南の廊下で、暖かい陽光を浴びて咲き輝いている鉢植えの福寿草を前に、老眼鏡をかけて新聞を読んでいるのや、北海道辺の新開地の農夫が、木の根の燻ぶる炉ばたで、罐詰の空罐に植えた福寿草を、節くれだった黒い手でいじっているのなどは、いい調和です。それは、その人々も淋しければ福寿草も淋しいからです。そして、その人々も光を憧れ、春の訪れを待ちわびていれば、福寿草も太陽の燦爛と輝くのを待ち焦がれているからです。