Japanische Klassiker mit Furigana
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こどくしゃのあい
孤独者の愛
豊島 与志雄
Lesen Sie 孤独者の愛 (こどくしゃのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.723 Zeichen · 18 Bildschirme
だが家庭では、いろいろ恥しいことがあるだろうし、極り悪いことがあるだろう。それで私は結婚については、私には理想がありますし、理想にかなう相手が見つかるまでは結婚はしません、と言い遁れてきた。理想、そんなものは実は一つだってありはしない。考えてみれば、寒々とした淋しい日々だ。
胸のどこかを金槌でことりと叩かれたような思いで、私は澄江の顔を見返した。
「僕が一人っ子だってこと、どこで分る?」
「なんだか……静かで、そして淋しそうですもの。」
こんどは、顔色も変えず、精一杯のような真剣さだ。
「そんなことを言えば、君だって……一人っ子なんだろう。」
言ってから、私は顔が紅くなるのを感じた。
彼女は返事をしなかった。私も口を噤んで、杯を取り上げた。それから、あまり口は利かなかったが、互に杯のやりとりをしながら、自然に、そして大胆に、何度か眼と眼を見合った。
これだけのことで、二人が愛し合ったと言えば、なんだかばかげてるようだ。然し、愛情の契機なんて、たいてい些細なものである。一人っ子などと、私たちは下らないことを言ったものだが、どちらも顔を紅らめたのがいけなかった。