Japanische Klassiker mit Furigana
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こどくしゃのあい
孤独者の愛
豊島 与志雄
Lesen Sie 孤独者の愛 (こどくしゃのあい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.723 Zeichen · 18 Bildschirme
私は澄江に逢いたくて、一人で加津美へ行くようになった。私は内気ではにかみやだし、彼女は無口で胸にだけ思いつめるたちだった。語り合うことは少なかったが、愛情は急に燃え上っていった。
澄江は私の下宿へもやって来た。私は加津美へしばしば行った。澄江は叔母さんの家と加津美と、両方に寝泊りしていたので、ごまかしがきき、二人でよそへ泊りに行くことも出来た。
いつとなく、二人の仲は周囲に知れていった。私の下宿のお上さんは、澄江を他人扱いしなくなった。加津美では、まるで芸者のように澄江が私の側につききりだった。一方、私は金に困って、永田から会社の金をだいぶ借りた。私と同じ社員である永田に、会社の金が或る程度自由になることを、私は初めて知った。もっとも、社長の黙許があったのだろう。永田は言った。
「金のことは心配しなくてもいい。君たちのことは社長もうすうす知ってるよ。然し、あまり深まにはいるなよ。」
どの方面にも、大して障碍はなかった。ところが、へんなことが私たち二人の間に起ったのである。
自分でもはっきり気付かぬまに、私は会社をなまけることが多くなった。澄江の方でも、宵のうちの忙しい時でさえ、店を休むことがあった。