Japanische Klassiker mit Furigana
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うちゅうのにだいせいりゅう
宇宙の二大星流
寺田 寅彦
Lesen Sie 宇宙の二大星流 (うちゅうのにだいせいりゅう) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.116 Zeichen · 5 Bildschirme
先ず大きな汽船に乗って遠洋へ出たとする。四方見廻す限り陸地の影も見えぬ、ただ水平線上に幾筋かの横雲が静かに横たわっていると想像する。この時船中の食堂で卓を囲んで皿の肉をつついている人には船が進んでいようがいまいが何の痛痒も感ぜぬ、船が動けば皿の肉もそれを食っている自分自身もやはり一緒に動いて行くからだ。その時「オイ君の食ってるビフテキは一時間三十浬で走っているぜ」と教えるのは少々馬鹿げているではないか。小学校や中学校で太陽系を説くのは丁度船中で船内の事のみを教えているようなものである。それからまた船が一直線に進んでいる時遥かな水平線上の雲などを見ていれば雲も動かず船も動かず、いつまでも同じ処で波を切っているような気がする。これは雲が遠いからである。それと同じようにすべての恒星は非常に遠いので太陽系がこれに対して移動している事が短い年月の間には認められぬのである。しかし事実は何処までも事実であるから皿のビフテキはやはり飛んでいる、食っている人はこれを追っ駆けながら平気でいる。ビフテキばかりか船も飛んでいる。海も陸地も地球と一緒に凄まじい速度で太陽のまわりを飛んでいる。