Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うかのちょうじゃものがたり

宇賀長者物語

田中 貢太郎

Lesen Sie 宇賀長者物語 (うかのちょうじゃものがたり) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.427 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

赤樫の杖は、時とすると、奴隷どもの肩のあたりに蛇のように閃きました。奴隷どもはその杖を非常に恐れました。

それは晩春の明るい正午さがりのことでありました。紺青を湛えたような海には、穏かな小さな波があって、白い沙浜には、陽炎が処どころに立ち昇っておりました。そこには潮風に枝葉を吹き撓められた磯馴松が種種な恰好をして生えておりました。その中のある松の下には、海の水を入れた塩汲桶を傍に据えて、腰簑をつけた二人の奴隷が休んでおりました。一人は痩せた老人で、それは浮出た松の根に腰をかけておりました。一人は物に劫えるようなおどおどした眼つきをした壮い男で、それは沙の上に腰をおろして、両足を投げ出しておりました。壮い男は思い出したように小さな声で、「お月灘桃色、だれが云うた、様が云うた、様の口を引き裂け」と、調子をつけて歌を歌うように云いました。

「お前はどこから来た」と、老人は思い出したように壮い男の顔を見て問いました。

「西の方から来た」と、壮い男は云いました。この壮い男は、人買船から長者の家に揚げられたばかりでありました。

「西はどんな処だ、よい処か」と、老人はまた問いました。