Japanische Klassiker mit Furigana
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あんごこうだん
安吾巷談
Lesen Sie 安吾巷談 (あんごこうだん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.016 Zeichen · 48 Bildschirme
間髪をいれず我々が追う。サッと懐中電燈がてらしたところ、塀際で、男女が立って仕事をしている。光が消えた。この巡査は思いやりがあるのだ。カリコミではないから、女に逃げる余裕を与えているのだ。女は塀の向うへ逃げ去った。男は狐につままれたような顔でズボンのボタンをはめ忘れてボンヤリ立っている。
「いくらで買ったか?」
「二百円」
「よし、行けよ。ズボンのボタンをはめるぐらい、忘れるな」
男が去った。すると、もう一人、義足の男がそれにつづいて、コツンコツンと義足の音を鳴らしながら立ち去って行く。どこにいたのだろう。そして、どういう男だろう。光で照らされた輪の中には、この男の姿は見えなかったのである。
巡査はそれには目もくれず、足もとの地上をてらして見せた。ルイルイたる紙屑。
「戦場の跡ですよ」
立ったまま仕事するほどの慌ただしさでも、紙は使うとみえる。五十ぐらい紙屑がちらかり、それがみんな真新しい。この一夜のものだ。クツでふむ勇気もなかった。
尚もクラヤミのペーヴメントを歩いて行くと、歩道に二三十人の男女が立っているところがある。その三分の二はパンパンだが、男もまじっていて、お客でもなければ、男娼でもない。